2、3カ月ほど前に、ここで、
「ドイツワールドカップのトレンドは、ドッカンミドルシュートだったけど、最近はそれに対応するために、プレス位置やDFラインが高くなってきている。そうなると逆に、高いラインの裏を突くアーリークロスや、スペースに入り込むスピードの速いドリブラーが活躍するようになってきた」
というコラムを書いたけど、今回のユーロは怖いくらいその通りになっている。
遠めのミドルシュートがなかなか決まらない代わりに、
高く設定したDFラインの裏を突くパスがスルッと通ってゴール、みたいな場面がすごく多い。
ボールが変わっているので、そのせいかなとも思ったけど、
打っても入らないというより、打つチャンスそのものが少ない。バイタルエリアへのチェックがすごく厳しくなっている。
しかも今回のボールに関していえば、プレースキックでカーブが蹴りづらいようで、直接FKがなかなか決まらない。
FKが決まらないということは、ファウルを与える危険が減るということ。となれば、ますますバイタルエリアへのチェックは厳しくなり、ミドルシュートを打つスペースがなくなっていくわけだ。
……という状況を踏まえると。
今回のEURO2008で、オランダ、スペイン、ロシアといった辺りの調子がいいのもうなずける。
DFラインが高くなり、背後にスペースがある状況を得意とする国…、
つまり、パスやドリブルのスピードに特徴のある国が有利になっている。
逆にミドルシュートへの警戒が強まっているので、ドイツやルーマニア、さらには出場を逃がしたイングランドといった、パワー系の選手が多い国には逆風といえるのでは。
そしてドイツの場合、チームはまだまだ本調子じゃないけど、
その良くないチームをかろうじて支えているのは、ラーム、ポドルスキ、クローゼといった小回りの利く選手たちなんだよね。
EURO2008が、スピード>パワーという状況で進んでいるのは間違いないと思う。
そして、今夜のポルトガルvsドイツから、決勝トーナメントが始まる。
果たしてこのスピード優位の状況が続くのか、それともパワー系がこの状況を打開する秘策を打ち出すのか。
ちなみにパワー系が状況を打開するとすれば……その可能性を感じるのはイタリアのトニのプレー。高いDFラインの背後を突くのは、何もスピードがすべてじゃない。絶好調のビエリのように、DFを引きずりまくって決めちゃえばいい。
ピルロが出場停止となると、それも厳しそうだけど。
こんなところに注目して観戦すると、さらに面白いかもしれませんよ。


