今さらながら、
6月3日のなでしこジャパン−韓国女子代表の試合から。
FW荒川恵理子を中心とした速いパスワークで、なでしこはゲームを完全に支配して6−1の完勝。
翌日、さまざまなメディア上で「最強の日本代表」というフレーズが踊った。
しかし、「最強の日本代表」と持ち上げられたなでしこジャパンは、1週間後にふたたび韓国とアウエーで対戦して、今度は2−2の引き分けに終わった。
韓国ホームの試合を見てないので何ともいえないけど、韓国はなでしこジャパンを研究してきたんじゃないかと思う。国立で6−1負けを喫したとき、韓国はなでしこのワンタッチ・ツータッチの速いパス展開にフラフラと遅れてマークしていく感じで、全くポイントを絞った守り方ではなかった。自分たちのサッカーをすれば勝てる、という考えが韓国側にもあったのかもしれない。
対戦相手を"ウサギ"と思って戦うか、"ライオン"と思って戦うか。
言うまでもなく、その差は大きい。
僕だったら、ウサギと戦うときは素手で戦うだろう。そして、ライオンと戦うときはありとあらゆる武器や罠を仕込んで戦うに違いない。
韓国は国立でなでしこと戦い、相手が想像以上に"ライオン"だったということに気づいた。だからホームではライオンの良い所をつぶすサッカーに徹することで、2−2という結果に持ち込んだのかもしれない。まぁ、これはあくまで想像だけど。
さて、その韓国女子代表。
マッチデープログラムを見ていて、驚いたことが1つあった。
韓国サッカー協会への女子チームの登録数は、なんとたったの73チーム(2006年度時点)。ちなみに日本の女子チーム登録数は1000を超えているので、韓国女子サッカーの規模は日本の10分の1以下ということになる。
サッカーというスポーツにおいて、韓国は歴史的にもずっと日本の先を行っていただけに、この数字はすこし意外なものだった。
ここで僕はあることを思い出した。
韓国という国は儒教社会なので、自分の身分をよくわきまえ、父親など目上の人を尊敬することについて非常にきびしく教育される。
それはサッカー選手のような特殊な職業についても同じで、見る遊びとしてサッカーを楽しむことはあっても、自分が同じようにプレーして楽しもうという発想は、韓国では比較的少ないらしい。プロはプロ、平民は平民。そういう考え方なのだろうか。
だからこそ、男性スポーツであるサッカーを、女の子がプレーしようなんてことは、韓国文化の中ではなかなか育たなかったんじゃないかと思う。
それは昔のヨーロッパも同じだった。肌を露出した短パンを履いて(最近はだいぶ長くなっているけど)、血相をかえて走り回り、思いっきりボールを蹴飛ばす。そんな行為は「女子にはふさわしくない」とされ、男性のみのスポーツとしてサッカーはずっと成り立っていた。
というわけで、長いサッカーの歴史を持つ韓国、そしてさらに長い歴史を持つヨーロッパでも、女子サッカーはなかなか育ってこなかった。
ところが。
そこで、我らがなでしこジャパンだ。
先日、モンテネグロ戦後のブログで、「ミーハーな日本体質」についてガッカリしたという感想を書いたけど、なでしこに関していえばそのミーハー体質がいいほうに左右していると思われる。
日本では女の子がサッカーをする、ということに対してアレルギーが少なく、何でも取り込んでしまう節操のない国民性がゆえに、多くの女性が素直にサッカーに取り込むことができた。
韓国の10倍以上の女子チーム数を誇ることがそれを証明している。
100人の中から11人の代表を選ぶか、それとも1000人の中から11人の代表を選ぶか。どちらがより質の高い代表になるのか、それはいうまでもない。
日本人のミーハーさ、軽薄さが、日本女子サッカーの急成長を支えたといっても過言ではない。
「ミーハー」という国民性にも、メリット、デメリットの両方があるという発見をした、今回のなでしこジャパンの試合でした。


