今日の昼、ひょんなことから、黒田和生先生とランチを食べました。
今はヴィッセル神戸の育成部長に就任しているので、「先生」ではないんだけど、この呼び方のほうがピンと来る人は多いはず。
黒田先生といえば、名もなき滝川第二高校を、
高校サッカーの名門に育て上げた、日本屈指の名監督。
昨年、その長い歴史に終止符を打ち、同校を退職されました。
※というわけで、ここからは「先生」ではなく「さん」付け
黒田さんは、今年で59歳になるとのこと。
なぜこの大人物に対して、オレが「ひょんなこと」からランチを食べるかというと、
実はオレの大学時代の友人が、黒田さんの息子なわけでして。
その彼から、
「明日、父が東京に来るので、ランチでもどう?」
というメールが昨日夜に届いて、こんな成り行きになったわけです。
ちなみにオレは、オヤジを「父」と呼んだことは一度もございません(笑)。
オレがこういう大人物とお会いするときは、
たいがい「ジャーナリスト」と「取材対象者」としての、距離感みたいなものがあります。
ところが今回は取材対象としてではなく、友だちのオヤジとして、
これほどの大人物に出会ったので、
なんだか距離感が新鮮で、逆に緊張してしまった(笑)。
だってさ、店を探して歩いているときに、
息子 「イタリアンとカレーの店があるけど、どっちがいい?」
(オレの心の叫び) 「ちょっと、なにその2択! 59歳の御人を相手に、和食とかないんかい!」
黒田さん 「カレーはイヤやな。ピザとかのほうにしてくれ」
その後、しばらく話しながら歩き、
息子 「ほら、これがさっきいってたカレーの店。今なら空いてる。入っちゃおう」
(オレの心の叫び) 「オイ、さっき黒田さん、カレーはイヤって言ってたや〜ん」
黒田さん 「おう、入ろうか」
そして黒田さんは断らず。そのままカレーランチとなりました。
…まぁ当たり前のことなんだけど、彼にとってはただの親父だからね。
オレも親父に対して、あんまり気なんて使ってないし。
いちいち葛藤するオレがおかしいんだけど(笑)。
そんな、くすぐったいやり取りや空気が、本当に新鮮だったな〜(照)。
ただ、さすがに間近で黒田さんとお話をしていると、
柔らかで堂々としたオーラをヒシヒシと感じる。只者じゃないよ、やはり。
そして会話の中で、黒田さんは、
「選手を育てるよりも、指導者を育てることのほうがはるかに難しい」と言っていました。
サッカー界で仕事をしている人は、能力の優秀な人は多いけど、
ちょっとした目先の評価をされるだけで、すぐに傲慢な態度を取りがち……もちろんオレも人のことは言えません。
どんなに優秀な監督でも、
「このチームはオレが育てた!」なんて主張してはいけない。
選手自身の努力が必要だし、親のバックアップもあったはずだし、小学校や中学校から育ててくれた指導者の存在だって忘れるわけにはいかない。感謝はあっても、思い上がった態度を取る理由は一つもない。
黒田さんは、そういう傲慢さがなければ、
サッカーにはもっとたくさんの人が援助をしてくれるはずだ、とおっしゃっていました。
援助をしてくれる人…。
それは、政府・自治体・民間・個人。いろいろあるでしょう。
たくさんの人がサッカーに関わってくれる機会を、安いプライドによって自ら退けてしまっているんです。
サッカー界に閉塞感を産んでいるのは、他ならぬ我々自身の傲慢さだったんだなあ……と、目からウロコが落ちる思いがしました。
とにかく、謙虚さを忘れないこと。
それが今の我々には求められている。
自分の食いブチを増やすも減らすも、自分自身の心がけ次第。
黒田さんの、59歳になってもまだ何かを学び続けようとする姿勢、
そして揺るがない自信に謙虚さを同居させること。短い時間で大切なことを教わりました。
詳しくは、もうすぐ発売される黒田さんの自伝、
「トモニイコウ。」のほうでたっぷり語られると思います。おそらく。
実は今回の記事は、
黒田さん親子との会話で聞いた、ゲルト・エンゲルス話を披露しようかと思って、
書き始めたんですが…、
気づいたらこうなってました(笑)。
自分の中だけに留めず、発信するべきだろうと、勝手に体が反応してしまった。
というわけでゲルト話はまた、次の機会に。







