今回は、俺の友人の大学時代のサークル仲間(T氏)のお話。
聞いたことがある人もいるかもしれないけど、T氏は、
「宿題代行サービス」をする会社を立ち上げているらしい。
宿題代行っていうのは、子どもの夏休みの宿題を代わりにやってあげようというサービスなわけだが……いやはや。
世の中、何でも商売になっちゃうんだなぁ。
「学校の宿題よりも塾の勉強を優先させたい。だけど宿題をやらずに、内申点が悪くなるのは避けたい」
という、母親たちのわがままなニーズに答えたビジネス。
気になる料金だけど、
読書感想文 → 400字詰め原稿用紙3枚で、2万円。
算数の宿題 → 1問500円。
図画工作 → 1作品5万円。
オイオイ。
小学生の読書感想文が、俺の原稿料よりたけーよ(笑)
どないなっとんねん(怒)
子ども1人分の夏休みの宿題をやったら、30万円くらいにはなる。
それを大学生のアルバイトにやらせておいて、自分は呑気に年収3000万。頭がいいというか何というか…。
夏休みの宿題をやる時間がないって、どんだけ忙しい子どもやねん。
母親たちはいったいどういう気持ちでこのお金を払っているんだろう?
自分の子どもにズルをさせている、そのくらいの意識はちゃんとあるんだろうか?
父親はそのことを知っているのだろうか?
なんとこのビジネスは、夜のニュース番組でも取り上げられた。
ただ、いわゆる普通のニュースとしてではなく、
ネットカフェ難民の特集のように、世の中の歪みを探るようなテイストのドキュメンタリー。
キャスター陣はこのビジネスに賛同せず、かといって拒否するわけでもなく、ただ眉をひそめながらコメントするだけ。
T氏のホームページを見ると、プロフィールには、
「夢 − 楽してがっぽり稼ぐこと」と書いてある。
彼は自分のやっていることに、少しも罪悪感を感じていない。
実際こんなグレーなことをやっておきながら、テレビに堂々と素顔で出演して屈託のない笑顔を見せる。「みんなのためになっている」と堂々と言う。本当に罪の意識なんてないのだ。
たぶんT氏の中では、悪いこと=法律に違反することなんだと思う。法律に違反しなければ何をしても構わない、そう考えている。いわゆる「ホリエモン」タイプ。
T氏は非常に頭がいい。
こんなアイディアを考え、それをビジネスという形にするのは誰にでもできることじゃない。
ところが、その彼の行動を制約するのは、「法律に条文があるか否か」それだけ。
倫理だの道徳だの、そんなことは彼にとっては何の意味もない。
ある意味、これほど恐ろしいことはないと思う。
彼はおそらく、六法全書に「殺人は罪である」という条文がなく、しかも殺人をすることでお金を得られるとすれば、きっと・・・と考えると本当に恐ろしい。倫理観がなく、知恵という力だけを身につけた人間なんて悪夢そのものだ。
核兵器やバイオ大量殺人兵器などと同じ……というのはちょっと言い過ぎだけど、「子どもの教育社会を破壊する」という意味では、ニュアンスはわかってもらえると思う。
もう一つ違和感を感じたのは、
一緒にそのニュース番組を見ていた友達数人が、「別に悪いことしてるわけじゃない。問題はないよな」と語り合っていたこと。
ほとんどがそういうスタンスだった。
「法律に触れているわけじゃない」それが多数意見。
当然俺は、「こんなのクソだ」と言い放って真っ向から対立したんだけど…。
法律どうこうなんて関係ない。子どもに金でズルを覚えさせるようなことは悪に決まっている……と、俺のハートは完全な拒否反応。
ズルをした子どもは、自分の親しい友達に「僕の宿題はお金を払ってやってもらったものだ」と、正直に言うんだろうか。それとも隠すんだろうか。夏休み明けに、胸を張って先生に宿題を提出できるんだろうか。いずれにせよ、子どもの人格形成に悪影響を及ぼすのは想像に難しくない。
さらに「学校の宿題はやらなくてもいいものなんだ」と認識した子どもは、教師を尊敬しなくなる。それでは教育そのものが成り立たない。
どう考えても悪だろう、こんなクソビジネス。
T氏にしてもキャスター陣にしても一緒にテレビを見ていた友達にしても、
「金と法律以外の判断基準」を持っていないことが俺には不思議だった。
「良くない」と心のどこかで思っていても、法律に違反していなければ「NO」と言うこともできない。何かがヘンだ。
金と法律で、この世の全てに説明がつくわけじゃない。今日はそんなことを強く思った。


