ELGOLAZOに、元サッカーマガジン編集長、伊東武彦氏のインタビュー記事が載っていた。(現在はニュース週刊誌アエラ所属)
タイトルは「大丈夫か! スポーツメディア」。
年末にさまざまなスポーツ雑誌が潰れていった、今の世相を反映しての企画だろう。
現代のサッカーメディアが抱える問題点なんて山ほどあると思うけど、ひとつ伊東さんが挙げていたのは、「記事のブログ化」。
編集者とライターの間できちんとしたブラッシュアップもないままに、視点の希薄な「がんばれ記事」ばかりが増えているとのこと。
多いね、確かに。書かされることもあるけど。
インターネットは本当に便利で色んなものを生み出してくれたけど、便利さが逆に質を落とすことは、世の中では良くある話。
ミクシィに依存したせいで友達を作る能力が落ちたり、ネット通販や比較サイトに依存したせいでモノを見て選別する能力が落ちたり。
サッカーメディアに限らず色々あると思う。
「記事のブログ化」以外の問題では、金子達仁が流行させた「スポーツノンフィクション」の後を追い、「形だけ金子達仁の勘違いライター」も多いらしい。
これも聞いたことがある。
スポーツライターを目指す人の90%は金子達仁を目指しているとか。
どうしようもなく凡人だね。その発想が。
ニセ金子達仁の行動パターン。
選手にインタビューをして、その話を全て鵜呑みにする。例えば宮本が〜〜に行ってトレーニングをした、と言う。そのトレーニングや行動の正当性・効果について検証することもなく、宮本すごいがんばれと記事にしてしまう。
確かに金子さんの記事の場合は、独自の視点がちゃんとある。浅いけど。
テレビも含めて、この人サッカーしたことねぇんだろうなって思わせるほど浅いことを言うけど、少なくともライターとしての立ち位置はしっかりしている。
批判精神もふくめてそのライターが何を見ているのか、最近のライターにはその視点が希薄なのだと、伊東さんは言っている。
要は、安くて早い牛丼ライターが増えているってことか。
それぞれのライターが、物真似ではない自分の個性で勝負すればもっと面白くなるのに。
ただ、これを聞いてすぐに「マスゴミ」って罵倒する、どっかの野党みたいな反応をするのは辞めて欲しい。
その人の本音に迫って、じっくり取材をして検証を重ねて…、
そして記事を書き上げるなんてことが現代のライターには許されてはいない。
家がお金持ちで100%出資を受けているのなら話は別だが、取材費なんて一切出版社は出してくれない。自費で飛んで泊まって取材をして、もしそれが大きな記事にならなければ大赤字である。
記事になったとしても、たいした儲けではない。結局ギャラの額は名前の強さで決まる。これも大きな問題だ。
長く取材に時間をかければ、それだけホテル代や交通費がかさんで来るのは当然だ。がんばってがんばって、良いモノを作り上げたライターに待つのは極貧生活なのである。
良いライターは、良い編集者・良い読者によって育つということ。
どんなに芽が良くても、肥料が足りずに天気も悪ければどうしようもないのだ。
ちなみに伊東さんが所属している週刊紙アエラは、僕がW杯期間中に目を通したサッカー記事の中で一番おもしろいものを作っていた。本来はスポーツ誌じゃないのに。
今の既存スポーツ誌は、ページ数ばかり厚くて中身が薄い。
「薄い」というよりは、同じ味付けばかりというべきか。こんな味付けが、世界の料理を節操無く食らう日本人にウケるはずがないよね。
僕がお世話になっている「ストライカー」は選手の足技・テクニックという独自の視点でメディアを作り上げている。読者層は、もっともサッカーのプレーを楽しんでいる中高生が中心。
その確立した視点の存在が、部数を伸ばしている最大の要因になった。
ストライカーをお手本に、いずれ僕も独自の視点を持ったサッカーメディアを作りたいと思っている。温めているアイディアもある。後は誰とどういう形で・・・ってとこが問題だ。
伊東さんが言っていることは、ずっと自分が思っていたことではあるけど、改めていい勉強になりました。
どうしても何かに追われる毎日の中では、
こういう大切なことを忘れがちになってしまうから。
たまに思い出さないとね。


