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一歩も譲らぬラインマインダービー【マインツvsフランクフルト】

【2006-2007シーズン ブンデスリーガ第3節】 
1.FSV Mainz05 vs Eintracht Frankfurt
1-1(前半0-1)


この試合は両チーム(特にフランクフルト)の今後を不安視させるゲーム内容だった。始まって3節でこれを言うのも余りに時期尚早に過ぎるというものだが、「降格」の2文字がチラチラと浮かんでしまうほどだ。その点をじっくりと辛口トークで責めたいところだが、まずは高原が移籍したこと以外は日本人になじみの薄いこの両チームについて、歴史的な重みを含めて紹介させていただきたく思う。


ドイツの地理に明るい方なら知っているかもしれないが、マインツとフランクフルトは電車で40分程度の距離にあるご近所さまである。そのため、マインツを流れる「ライン川」、フランクフルトを流れる「マイン川」の名前を取って、この試合は「ラインマインダービー」と呼ばれている。


ところが歴史上、この「ラインマインダービー」がブンデスリーガで実現したのは昨シーズンが初めてなのである。マインツはドイツ国内でも珍しい遅咲きのクラブであり、2001年にマインツOBであるユルゲン・クロップが監督に就任したことで急速に力を付け、2005年にクラブ史上初めてブンデスリーガ昇格を果たした。マインツは1905年に創設されたクラブであり、2005年はクラブ創設100周年にあたる。ゆっくりと想像してみて欲しい。なんと1世紀もの間、昇格をめざしてドイツ下部リーグを戦ってきたのである。
Jリーグが出来てたかだか10数年の日本に生まれた僕にとって、その途方もない歴史の大きさにはただ脱帽するばかりである。


ところが、マインツが初めてブンデスリーガの表舞台に立った2004-2005シーズン、ラインマインダービーが話題になることはなかった。フランクフルトはブンデスリーガ、UEFAカップも制したこともある古豪クラブだが、近年は1部と2部を往復する低迷期に入っており、2004-2005シーズンは時悪く2部に降格してしまっていた。


そして昨シーズン、101年の時を経てついにブンデスリーガで顔を合わせたマインツとフランクフルト。昨シーズンの残留に成功したことにより、今年はダービー2季目を迎えることが出来る。はなれ離れだった100年の空白の時を埋めるべく、この出会いが長く続くような戦いを両チームに期待したいと思う。


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『マインツホームゲームでは、試合前にマフラーを掲げてバラードを歌っている。僕の前にいたおじいちゃんは、ハーフタイム中にマインツのステッカーを隣りの人のお尻に貼ったりと、まるで子供のようにはしゃいでいた。 photo by 清水英斗』


攻撃が迷宮入りしたフランクフルト

フランクフルトは開幕戦を4-4-2、第2節を4-5-1で臨んだものの攻撃がまるで機能しなかった。フンケル監督率いるフランクフルトは、基本的にショートパスを使って攻撃を組み立てるドイツらしからぬチームである。その中心はFWのギリシャ代表アマナティディスであり、彼の体を張ったポストプレーからMFテュルク・シュトライト・マイヤーらが衛星として動いてスペースを突いていく。が、この攻撃は今のところほとんど上手く行っていない状況である。狭いスペースに追い込まれて無理な縦パスを出すしかなくなり、広いエリアへの展開が出来ない。そればかりかボールを奪われた後、サイドバックが中途半端に上がったスペースを何度もカウンターで突かれ、ここまで引き分けを2つ拾ったことが幸運に思えてしまうのが現在のフランクフルトだ。


この日のダービーでは、フンケル監督は大手術を敢行する。ずっと4バックで戦ってきたディフェンスを3バックに変更し、3-4-3の中盤をトリプルボランチで臨んだ。3トップのウィング、シュトライトとテュルクにボールが入ったらそれをトリプルボランチの両翼が追い越してサイドを崩していく狙いが見て取れた。しかし、前線のフリーランニングの質・量不足で効果的にスペースを作り出せないまま、ゲームはマインツペースで進んでいく。


中でも前半、特にテュルクの動きが悪くミスが目立った。彼は今シーズン、マインツからフランクフルトに移籍してきた選手で、マインツサポーターにとってはまさに裏切り者である。「もうこれ以上の移籍は沢山だ」というメッセージを掲げたホームのマインツサポーターは、テュルクがボールを持つたびに大ブーイングを浴びせていた。
しかしこういったブーイングも、通常ならばプレー自体に影響を及ぼすものではない。気にしなければ済む話である。しかし、本当にスタジアムが揺れんばかりのブーイングは、観客席にいた僕の体にもビリビリと響いて重量感を感じるほどだった。"音"の凄さを思い知った。
「サポーターが放つ凄まじい怒りの和音は、確実に彼のプレーを止めていた。」
実際にスタンドにいた僕はそう思わざるを得なかった。


狭い中に引き付けて広いサイドに展開することが全く出来ず、結局90分を通して今後につながるような組織的攻撃はほとんど見られなかったフランクフルトだったが、試合は意外な形で先制点が生まれる。


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『スタジアムに集まった20,300人の観客のうち、フランクフルトサポーターは3,000人程度。しかしわざわざアウェーの地にまで駆けつけた精鋭サポーターは叫び、歌い、踊り、圧倒的な存在感をスタジアムの中で誇っていた。 photo by 清水英斗』


なんと3戦連続・・・

前半25分、FKから左サイドでパスを交換した後、シュトライトが右足でアーリークロスを放り込み、真ん中で待っていたアマナティディスがヘディングで叩き込む。オフサイドを狙ったマインツDFだったが、サイドバックのチャドゥリが残っていたのか狙いは不発に終わり、一瞬の隙が失点を生んでしまった。


マインツは前後半を通してチャンスを多く作った。アザウアが中央で運動量を発揮し、フランクフルトの3ボランチの注意が中央に引きずられたところでサイドのフォイルナーに展開。前を向いてボールを受けたフォイルナーは、そのまま縦を何度もえぐり、DF2人をかわす個人技の高さを見せた。マインツには後半から入ったエドゥなど、スピードがある縦に勝負できるドリブラーが何人かいる。こういった選手がフランクフルトにも欲しいところだが…。
しかしながらマインツも最後のシュートが度々ポストを叩くなど決定力を欠き、後半に入ってもなかなかゴールを奪えない。そこへ試合展開を変えるアクシデントが発生した。


後半19分、MFシュパイヒャーが2枚目のイエローで退場してしまい、当然ながらフランクフルトは1-0の逃げ切り体勢にギアを切り替えた。攻め立てるマインツだったが、やはり最後のシュートが入らない。マークが余っているのだから、右サイドバックのチャドゥリがもっと攻め上がっても良かったと思うのだが…。もともと攻撃の選手だけに、1点ビハインドの場面であの消極的なポジショニングには疑問符を付けざるを得ない。(チャドゥリは後半30分に交代で退く)


フランクフルトに待望の初勝利が転がり込むか・・・。
昨シーズン、ラインマインダービーは「2-2、0-0」で、2試合とも引き分けに終わっている。この日悪いながらも粘るフランクフルトが、ダービーに新たな歴史を刻むかに思われた。


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ところが後半39分、ついにマインツは右FKからヨヴァノヴィッチが同点ヘッドを叩き込む。この瞬間フランクフルトの今シーズン初勝利が消えて、ラインマインダービーは何と3試合連続の引き分けに終わった。

フランクフルトは後半43分にもDFのヴァゾスキを一発レッドで欠いており、次節フンケル監督は機能しない攻撃に加えて、コマの減った守備陣にも頭を悩ませることになりそうだ。




ちなみにフランクフルトの高原はこの日もベンチ入りせず。今のチーム状態を見るならば、彼の出番は必ずやってくるに違いない。逆に言えばこのひどいチーム状況で出場できないとき、もしくは結果を残せなかったとき・・・それは高原のJリーグ復帰を意味することになるだろう。


20060829054724.jpg


最後にドイツの天気についてひとつ。
この日は、前半が快晴 → ハーフタイム中に豪雨 → 後半20分に雨が止み → 後半40分に再び雨が降るという有り様だった。濡れたピッチではバウンドしたボールが伸びるなど、芝の状況を常に考慮に入れなければならないが、こうも状況がコロコロ変わるのでは選手にとっても大変である。


しかしこの気まぐれな天気は、ドイツでは全く珍しいことではない。
ブンデスリーガには、分単位で変わるピッチコンディションで柔軟に対応する適応力が求められるのだ。
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テーマ : ブンデスリーガ(ドイツサッカー)
ジャンル : スポーツ

高原のポジションはあるのか【フランクフルトvsヴォルフスブルク】

2006-2007シーズン
ブンデスリーガ第2節
アイントラハト・フランクフルト vs VfLヴォルフスブルク


20060819_2.jpg



シャルケとのアウェーでの開幕戦を1-1の引き分けで乗り切ったアイントラハト。だが試合の内容は散々だった。


監督がフンケルに変わって以来、パスをつなぐ攻撃的なサッカーを目指していたアイントラハトだが、この日のボール支配率は37%というひどい数字を残した。最多ボールタッチ数はシャルケがトップ下のリンコン(96回)であったのに対し、アイントラハトは左サイドバックのシュパイヒャー(52回)である。
これらの数字が示す通り、シャルケは敵陣に攻め込みかつボールをキープする理想の展開でアイントラハトを攻め立てた。この試合のMOM(マンオブザマッチ)はアイントラハトのGKプレルであったことからも、防戦一方のゲーム展開だったことは想像に難しくない。


ちなみに今シーズン、ハンブルガーSVからアイントラハトに移籍した(元?)日本代表の高原だが、まだケガから練習に復帰したばかりということで当然のようにスタンド観戦。


果たして復帰後、アイントラハトに高原の居場所は残っているのだろうか?
そんな視点も含めてこの試合を観戦してみた。


20060819.jpg



アイントラハトは開幕戦で使用した4-4-2ダイヤモンドの布陣を4-5-1に変更。
ギリシャ代表アマナティディスを1トップに置き、中盤を厚くしてボール支配を高めようと試みた。
中盤のテュルク・ストライト・マイヤーがポジションチェンジをしながらスペースを作り、アマナティディスのポストプレーを基点にサイドを突破して何度かチャンスを得た・・・が。


アイントラハトが良かったのは前半5分まで。
攻撃的なチームがもっともやってはいけない、ディフェンスポジションでの軽率なミスが続き、どうしてもリズムに乗ることが出来ない。特にミスの目立ったボランチのルスは見せ場なく前半交代。
前線のポジションチェンジも、横方向のみの単純なものに終始し、相手DFラインを混乱させるには至らない。


ヴォルフスブルクは4枚のディフェンスがほとんど上がることなく、ロングボール一本のカウンター攻撃を主体とするドイツらしいチームだった。能動的にリズムを作れないアイントラハトに対し、ヴォルフスブルクは効果的にチャンスを作り出していた。


後半はルスに変わり、本来サイドポジションのケラーがボランチに入る。ケラーが中央からボールを持って上がることで、サイドのストライトやテュルクがフリーで前を向ける機会が増えたが、決定的な場面もゴールポストに嫌われるなどで結局ゴールにはならなかった。


アイントラハトはディフェンスラインからパス回しのリズムを作って相手のマークをずらし、タイミングの良い縦パスを入れていく必要がある。それが出来なければ、今シーズンもアイントラハトは降格争いを巻き込まれるのは必死である。




さて、冒頭で触れた『高原直泰』についてだが。
ドイツの屈強なDF陣がずらりと並ぶライバルを相手に、高原のワントップはまずあり得ないだろう。となるとやはりMF、それもサイドでの出場ということになるが、監督のフンケルもフォーメーションを思考錯誤しているようなので現段階では何も言うことはできない。ただ、フォーメーションが何にしろ「パスを回して攻撃的に攻める」というドイツらしからぬサッカースタイルは高原には好材料になるだろう。


そして今のアイントラハトは明らかに良い状態とは言えないので、高原の出番は思ったよりも早く回ってくるかもしれない。MFも縦への意識の強い選手が少ないので、思い切ったプレーでアピールすればレギュラー獲得も充分に考えられる。まぁ色々考えても、結局は本人次第という解答になってしまうのだが。


次節は、1.FSVマインツ05とのダービー戦。


フランクフルトを流れるマイン川、マインツを流れるライン川の名前を取って、『ラインマインダービー』とこの試合は呼ばれている。


ちなみにマインツには元韓国代表のチャ・ドゥリが今シーズンにフランクフルトから移籍し、高原とチャの日韓ダービーにもなり得るかと思ったのだが・・・。


高原はケガ。チャも開幕戦で出番なし。
余りに予想通りでガッカリしていない自分が悲しい。

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間接教師、イビチャ・オシム

さて、世間のオシムブームに乗って僕も記事を書いてみたいのだが、あいにくドイツに住んでいるためオシムジャパンの試合は1試合も見ていない。主に情報を集めているのはブンデスリーガ・チャンピオンズリーグ・欧州選手権予選などで、日本代表についてはせいぜいインターネットで試合結果をチェックするくらいである。


が、そんな環境にある僕にも「オシム」という響きは飛びこんできた。その言葉を発した人物は、ドイツでものすごくお世話になっているブンデスリーガB級コーチライセンスを保持するK氏だった。K氏はドイツ3部リーグでのプロ選手経験もあり、現在はFSVというクラブチームで将来プロを目指すU-19世代の指導にあたっている。


その彼が言った。
「オシムの指導法がめちゃめちゃ勉強になった」


彼はオシムの指導法を記録したDVDを見てこの感想を漏らしたのだが、もちろん彼はすでに自分のメニューに「考えさせる頭の疲れる練習」を積極的に取り入れており、我々とは勉強のレベルが違うことは言うまでもない。頭の疲れる練習について、彼はより具体的なアイディアをオシムから得たのだろう。


しかし考えてみれば、これはものすごいことではないだろうか。


コーチ・監督という職業は、自分の所属するチームが勝てるように最善を尽くす仕事である。つまり指導の対象は、目の前にいる選手たちに他ならない。オシムにとってはそれが日本代表にあたる。


これだけ遠く離れたドイツにまで、オシムから影響を受けた人間がいることを考えれば、日本中にオシムに感銘を受けている数多くの選手・コーチが存在することは想像に難しくない。そして当然彼らはオシムが日本代表に注入しようとしている「考えながら走るサッカー」の理念を、自らの指導に生かそうとするに違いない。


つまり、
『オシムは間接的に日本サッカー全体のコーチをしている』ことになる。
良い作物を栽培するには、良い畑が必須である。彼は「日本サッカー環境」という畑にも栄養を与えているのだ。


どんなに優れた監督が完璧な指導を行っても、2010年でしか勝てない代表を作ることは、サッカー後進国である日本にとって必ずしもプラスとは言えない。長期的な成長こそが、いずれ強豪国と呼ばれるために必要なことである。
我々は目先の試合結果のみに目を奪われず、オシムが語るアイディアをしっかりと心に留めておく必要があるのではないだろうか。


また、彼はジャーナリストに対しても手厳しい対応をしているようだ。「40年間、日本のスポーツジャーナリストは一切成長していない」と言い切ったり、愚鈍な質問をバッサリ切り捨てる一方で、会見を延長してでもマスコミにアイディアを語り尽くそうとする彼の真摯な姿は、本当にサッカーに対して真っすぐに向き合っている清々しいものに感じられる。


…と言っている側から、僕が確認した多くのメディアではその肝心な部分が軽視され、結果や印象コメントのみが取り上げられてしまう非常事態に、僕は何ともひどい脱力感を背負ってしまうのだが。


以前、K氏が語っていた言葉が思い起こされる。
「ドイツに指導を学びたいと言ってくる日本人たちは、トレーニングの方法や手順のみを学ぼうとしている。だがドイツ人の場合は違う。なぜこのトレーニングなのか、という基礎理念を学ぼうとする。そして実際のトレーニング方法は自分のチームに合わせてアレンジしていくんだよ。」


安易に物事を進めようとする日本人に多い「こなし主義」。
なぜその練習をしているのかを理解しないでトレーニングすることは、まさに「こなしている」だけに過ぎない。
そうした行為が後々につながらない、実力アップにも効果が薄いということは何もサッカーに限った話ではない。理念という礎があってこそ、はじめて方法論というステップに進むことが出来る。非常に耳の痛い言葉だ。


オシムが2010年W杯で勝てる日本代表を作れるかどうかは小さな問題だ。
それよりも僕たちは、『日本サッカー間接教師』である彼の理念にしっかりと耳を傾け、数十年後の日本が強豪と呼ばれるように選手だけでなく我々も考えていく必要があるのではないだろうか。


重要なのはどんな練習をしているかではない。
「なぜ」その練習をするのか、「どうやって」効果を産み出すのか。
それをしっかり注目していきたいと思う。


日本人が潜在的に抱える性格を浮き彫りにしてしまうサッカーというスポーツの面白さ。改めて感慨深いものがあった。




#K氏のブログ「サッカー世界基準」をSpecial Thanksにリンクしました。

テーマ : オシムジャパン
ジャンル : スポーツ

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