今日はレバークーゼンまで、ドイツ代表vs日本代表の試合を取材に行ってきた。色々と書きたいことだらけなんだけど、まずは肝心の試合内容について語っときやす。つーか、ここでサッカーについて語るの久しぶりな気が…。
ええい! とりあえず、はじまりはじまり〜!
僕はまず、ジーコと日本代表に謝らなければならない。なぜならば試合前、僕はこのゲームを1−3、もしくは1−4でボコボコにやられると予想していたからだ。
ドイツというチームは、前からの組織的プレスがとても上手い。そして攻撃の爆発力がある。それを考えると、後ろからのつなぎに固執する日本のビルドアップは、ドイツのプレッシャーに捕まって失点するリスクを常に背負ってしまう。実際、日本と似たタイプのチームであるアメリカは1−4でドイツに負けているのだ。
しかし、僕の予想は大外れだった。
それでも敢えて言わせてもらう。いつもの日本代表、ボスニア戦やキリンカップあたりの日本代表ならば、絶対に1−3、1−4の大差で負けていたと。
試合後、選手たちは口をそろえてこう言う。
「今日は、しっかりと出来たことがあった。」
2失点を反省しつつも、彼らの口からは明らかな自信がにじみ出た。
そう、今回の日本代表には明らかな成熟の跡が見られたのだ。
【ドイツ代表】−【日本代表】 2−2
(57分、65分) 高原
(77分) クローゼ
(79分) シュバインシュタイガー
【1】ボールを奪う場所の明確化
今回、これがハッキリと見えたのが非常に大きい。
ボールの獲り所を低めに設定し、中盤でボールを奪うのではなく、中盤とDFの間でボールを奪うようにしていた。中盤ではある程度パスを回させ、相手のFWにボールが入った瞬間に2、3人が猛然と襲い掛かる。もちろんそこを突破された場合はピンチになるわけだが、ラインを高く保ってコンパクトにすることでプレスがかけやすくなり、リスクは大きく軽減している。そのため、クローゼやポドルスキに対するプレッシャーは相当にきつく、彼らは流れの中で仕事をすることがほとんど出来なかった。
【2】1タッチ、2タッチのスピーディな攻撃
上記のようにボールの獲りどころを低い位置に設定したとき、問題となるのは攻撃に時間がかかってしまうことだ。低い位置でボールを奪う=低い位置から攻撃を始めなければいけない、ということになる。守備のリスクが軽減される代わりに、攻撃にも工夫が必要になるのだ。
そして日本はその欠点を、1タッチ・2タッチの素早いパスを使って見事に解消していた。1点目の中村が出したパスを中田がスルーし、柳沢がダイレクトでディフェンスの裏へ出して、高原が落ち着いて決めたシーン。あれこそ、まさに象徴的なシーンである。この攻撃の基点であった中村は、自陣深くからパスを出している。そしてそれを柳沢のワンタッチのみでスピーディにゴール前まで運んだ。
ちなみにこれは、前任者のトルシエが取った戦術とは全く逆の考え方である。
2002年日韓W杯から4年が経って、「高い位置でボールを奪って素早く攻めるチーム」から、「低い位置でボールを奪っても素早く攻められるチーム」に成長したと言える。
【3】中田、中村、福西からの大きな展開(サイドチェンジ)
特に駒野が入った後にこのプレーが目立つようになったが、前半からも大きなサイドチェンジを使って効果的にボールを展開できていた。ドイツがこういった大きな揺さぶりに弱いのは周知の事実だったが、それを可能にしたのは中田の中央でのキープ力である。中村は良いパスもあった反面、相手に体を入れられてボールを奪われるシーンも目立ったが、中田は危ないシーンもなく効果的にパスを展開して格の違うプレーを見せていた。ジーコが言う「個を生かす」という意味では、これ以上の選手はいないのではないだろうか。
【4】高原・柳沢。FWのコンビネーション
まずは個々が素晴らしかった。
遠藤が「レーマンがあんなにポジショニングのいいキーパーだとは思わなかった。高原は、あそこしかないという所に蹴り込んだ。」と語るとおり、高原の2ゴールはどちらも決して簡単なゴールではなかった。しかしそれをキッチリ決めたことは非常に素晴らしい。
柳沢に関しても、ケガ明けのコンディションが心配されたがそれは全く問題ないようだ。むしろ、キレキレの動きを見せていたほどである。2人がボールを簡単に奪われずに前線で受け手になれたことが、攻撃のビルドアップを助けた。
そして特筆すべきは、その2人のコンビネーションである。
高原曰く、「あと一本のラストパスが繋がっていないから前線の早い動き出しでそこを作っていこう。」とハーフタイムに話し合ったとのこと。その甲斐あってか、FW2人の連携は非常に良かった。クロスして裏に飛び出したり、柳沢がスルーしてワンツーを受けたりと、ドイツDFメルテザッカーらにヘディングでは劣ったものの、彼らをあざ笑うかのような小気味良いプレーが多々見られた。この2人は元々、決定力はないものの決定機は数多く作ることができるコンビだった。それにゴールという結果が付いたことで、どうやらオーストラリア戦のスタメンFWは固まってきたと見るべきか。
ただし、やはり反省しなければいけない面もある。
後半、特に2点目を奪った後にDFラインに5人引いてしまい、その前のボランチのスペースを好きに使われたのは日本の悪いクセだ。前半コンパクトに保って支配したスペースを、自ら敵に明け渡してしまっていた。2点目を奪って点差に余裕ができたあと、同じようにプレッシャーをかけて3点目を狙うのか、ラインを下げて相手にパスを回させるのか、その辺りの意識統一がなかったように感じた。
たびたび課題で挙げられるFKでの失点だが、宮本は「危険な位置でファウルをしないこと。3点目を取っておくこと。」と言うが、それは毎度同じことを繰り返しているように思う。FKの対応に関して言えば、まずは単純にマークが弱いように感じる。世界のDFはもっと激しくガンガン当たってきているが、日本のDFは実に紳士的だ。相手がマークをずらすためにクロスして入ってきたときの対処も、もう少し練習する必要がある。
無理だと分かってはいるが、2点リードした場面でチャンピオンズリーグ決勝のバルセロナのような時間の使い方ができればなぁ…と思ってしまう。
試合後、僕は現地ドイツ人記者とこんな話をした。
「ドイツにとって、引き分けはラッキーだったよ。終盤の日本のチャンス(中田のスルーパスで大黒が1:1になった場面)を決めていれば3−2だった。日本はまるでボールが友達のようなサッカーをするね。ドイツにとってボールは敵さ。戦って蹴り飛ばす対象だからね。でも本当に日本はいいサッカーをしていた。決勝はブラジルと日本だったりしてね(笑)」
若干リップサービスも頂いたが、彼らも日本のサッカーを認めてくれたようである。そして、流れから素晴らしい2点を取ったことに浮かれないための、苦い2失点をプレゼントしてくれたドイツに、心から感謝したいと思う。
そして次号のキッカー紙、ビルト紙がどれだけドイツ代表とクリンスマンを吊るし上げるか…想像しただけでも恐ろしい…。




