高校サッカー選手権決勝
野洲高校vs鹿児島実業(2−1)
野洲は、ほんとに上手かった。
鹿実のプレッシャーが悪かったわけじゃない。むしろ、寄せが早くて厳しく、囲い込みもしっかりできていた。フィジカルの強い相手に何人で囲まれても、それを抜いたりパスを出したりできる野洲のテクニックは本当にすごい。ジェフ千葉に入団が決まっている青木、そして乾・平原をはじめ、FWからDFまで全ての選手の足元がしっかりしていた。あの鹿児島実業にも通じたことは、彼らのテクニックサッカーが本物だったことの何よりの証明だ。
野洲のプレーは終始スタンドを沸かせていた。
乾のドリブル、瀧川の切り返し、延長戦の勝ち越しゴールのきっかけになるサイドチェンジで特に大きな歓声が上がっていた。
一番印象的だったのは、それは「ワァーー」という"興奮"の歓声ではなく、「オォーー」という"感嘆"を表現するタイプのどよめきだったことだ。別に、「抜群に素晴らしいプレーを見たらオォーと唸りなさい」などという決め事はない。一人一人が彼らのプレーに感嘆し、それはスタジアムを揺らすほどの一体感を生んだのだ。
プロの試合ならともかく、高校生のプレーでスタンドが感嘆で沸くことはほとんどあり得ない。むしろプロの試合でさえ、そんなことができるのは中田英寿や中村俊輔など、限られた選手のみだ。
観客を楽しませるプレーをするということは、プロにのみ求められる要素だ。それが高校サッカーで、しかも最も緊迫度の高まる決勝で見られるのは本当にすごいことだ。
どんなにテクニックに自信があったとしても、試合が緊迫すればするほどミスに対する恐れがその身を支配してしまう。もしも失敗してボールを捕られたら・・・という弱い心は、リスクを冒して攻める気持ちを忘れさせてしまうのだ。そうなればクリエイティブというチームの根本は崩れ、安全で単純なプレーに走ってしまうだろう。
しかし、野洲は最後まで貫いた。それができる選手たちは技術だけでなく精神力でも非常に強いものを持っているのだろう。またそうでなければ、疲れの見える後半であれほどの鹿実の猛攻を受けながら再び延長戦でそれを押し返すなんて不可能だ。
「自分たちのサッカーをやり遂げる」という強い信念と責任が、
野洲イレブンの最大の武器だったのだ。
見てて気持ちよかった! ありがとう!
先日のトヨタカップでは、自分を散々落胆させてくれた日テレだったが高校サッカーになると良い番組を見せてくれた。いや、むしろ良い中継をしたというよりは、変な味付けをしないで普通に見せてくれたといった感じだろうか。
その詳細については後ほど書きたいと思うが、この差を産んだのはトヨタカップと高校サッカーの視聴者ターゲットの違いが最も大きいのだろう。大きなイベントの一つとして見ているものを主ターゲットとするか、サッカーが好きで見ているものを主ターゲットとするか。
テレビを始めとするマスコミメディアは、厳しい視聴者が育てていくもの。それを今後も意識していきたい。


