正直に言えば、かなり拍子抜け。
何がって・・・。
"カズ"は常に世界への意欲にあふれた選手だった。
15歳でブラジルに渡り、
イタリアで日本人初のセリエAプレーヤーになった。
だが、運とタイミングには恵まれず、
ドーハでの悲劇、フランスW杯では直前のメンバー落ちで、ついに日の丸を背負って世界へ飛び出すことはなかった。
それだけに・・・。
7年越しのカズの夢。「世界への挑戦」
それがついに叶ったトヨタカップ、世界クラブ選手権。
なのに・・・なのに・・・。
え? スタジアムの盛り上がりって、こんなもんなん?
さらに何が悔しいって、
カズ自身からも絶対に勝ちたいという気持ちが感じられなかった。
カズの試合直後のコメント。(スポーツナビより)
「前半のうちに得点を決められなかったのが痛かった。後半、何度か向こうのカウンターでやられたが、1本目でやられてしまった。前半がとにかく悔やまれる。90分間精いっぱいやったので、結果はしょうがない。前半はいいサッカーができて、後半も惜しいのがあった。次に切り替えていく。これで下を向かずに次の試合、国立の試合(16日に行われるアルアハリとの5位決定戦)を頑張ります。 」
結果はしょうがない? 次に切り替えていく?
「冗談じゃないヨ! あれだけ攻めてなんで点取れないんダヨ!
ふざけんじゃないヨ! 最低だヨ!」
俺の尊敬するサッカー選手、ラモスならそう言ったはず。
ラストチャンスだったんじゃ…。
なんだかカズ自身の気持ちも、そんなに盛り上がってないのかなぁって考えてしまった。むしろ、シドニーFCの他の選手の方が気持ちのこもったプレーをしていたと思う。
やっぱり俺はゴンやラモスの方が好きだ。
さて、試合内容だが。
シドニーFC、かなりうめぇよ。
体がデカいデカいと聞いていたので、アルイテハドに近い戦い方を想像していたけど実際はまったく違った。むしろ、全員の技術レベルが高くて基本に忠実。ドリブルは常に相手から遠い方の足でコントロールし、無茶な仕掛けをせずにボールを回してチャンスを伺う。少ないタッチ数で、キレイにパスをまわしていく。
特に印象に残ったのは、FWペトロフスキーとMFカーニー。テクニックがあり、個人技を生かすことができる選手だ。カーニーの左足でのプレーは、ガンバ大阪の家長を彷彿とさせる。
ボディバランスの美しさといい、正確なボール回しといい、間違いなくオーストラリアの選手は、小さい頃からしっかりと指導者に鍛えられたサッカー選手だ。
その余りの優等生的な巧さに、カズが下手クソ…というより素人のように見えてしまったくらいだ。一番気になるのが、カズはドリブルのときずっとボールを見ている(つまり下ばかり見ている)。これでは周りと連携することも出来ないし、相手のタイミングを外すのも難しい。
サッカーは、足元のボールを見る時間が少なければ少ないほど技術の高い選手なのだ。
試合後、1−0で終わった展開から、
「すべてサプリサのプラン通り」という論調も聞こえたが、
そんなわけがない。
むしろ前半は「シドニーFCにチンチンにやられてた」という試合だった。
ドイツW杯でも日本はオーストラリアと対戦する。
ブラジルやクロアチアばかりがクローズアップされ、オーストラリアには楽に勝てると思われがちだが、こんなヤツらが来るかと思うと・・・。
苦戦は必至だ。
ただし、シドニーFCも若い選手が多かったせいか、巧いことは巧いのだがキレイにやりすぎる傾向がある。「相手にとってイヤなプレーヤー」という意味では、この日はボランチに入っていたドワイト・ヨークの方が上だったのだろう。ヨークはボールを持ったら縦への意識が非常に強い。横へ回すよりはまずは縦へ出そうと試みる。その点では、中田がボランチをやったときと非常によく似ている。巧いプレーヤーではなく、怖いプレーヤー。セットプレーのヘディングを含めて、相手にとってはそんな選手だったと言えるかもしれない。
(しかしなぜかドワイト・ヨークといい、アラン・スミスといい、マンUのFWはボランチをやる傾向が・・・)
おっと、「怖い」と言えば・・・
この試合のMOK(マンオブザ怖い)は、サプリサのMFボラーニョスだ。
ゴールを決めた飛び出し、胸トラップ、タイミングの良いシュート。
その他にもドリブルでの切り込みなど、非常に怖いプレーを連続していた。彼はサプリサのキープレーヤーと言えるだろう。
しかし最後に・・・。
たった12ヶ月でこれだけのチームを作って世界へ飛び出したシドニーFCは本当にすごいと思う。っていうかリティがすごい。
たった2ヶ月ではカズもやはり連携しきれない部分もあっただろうし、もう少し時間があればさらに面白いチームになっていた。リバプールを脅かすほどの・・・。
シドニーFCはそれだけの可能性を持っていたのだ。


