海賊王サッカーコラム
 俺はもう二度と負けねぇ! 文句あるか、海賊王!

レアル復活!その鍵を握るプレーヤーは!?

2004-2005シーズン UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント
レアルマドリードvsユベントス 1st reg


開始早々、左サイドを柔らかいタッチで切り裂いたユベントスFW、デルピエロ。長い間ケガに泣いていたが、彼はここ2年ほどの間で昔の自分を取り戻しつつある。そんな彼のキレキレの突破を見たときは、「このゲームはデルピエロが銀河系軍団をテクニックでも圧倒するかもしれない」と思ったものだ。実際、世間の下馬評でもユベントスがやや有利だった。
だが試合が終わってみれば、この試合はレアル復活の狼煙(のろし)とも言うべきものになった。


9.5番から9番へ
9.5番−。
それはレアルFW、ラウールに付けられた称号だ。背番号は一般的にはエースストライカーが9番を付け、司令塔が10番を付けるものとなっている。(勝手に自分の好きな番号を付ける選手も多いが)
つまり9.5番とは、ストライカーと司令塔の中間ポジションということになる。誰が言い始めたのかは知らないが、ウマイことを言うものだ。ゴールを決めるだけでなくアシストやパス散らしも得意とする、それがラウール本来のプレースタイルなのだ。
しかしこの試合のラウールは普段の彼とはやや違った。中盤まで下がる回数は減り、その分最前線に張って裏のスペースを狙う。ジダンらが中盤でパスを回している間も、ラウールはDFラインの中で細かいポジション修正を繰り返していた。その動きはユベントスDFにとって脅威だった。ロベルト・カルロスの早いクロスに飛び込んでバーに当てたシュートといい、彼の貪欲な動きには熟練のDFテュラム・カンナバーロでさえ手を焼いた。今日のラウールの輝きは、悪童ロナウドの存在感を全く感じさせなかった。
そして裏を返せばラウールがそんなプレーができるのは、レアルの中盤に参加する必要が全くなかったからである。そう。それはシーズン前半には不調に苦しみ、引退物議が止まらなかった男の華麗な復活なくしては語れない。


マルセイユが生んだ奇跡
ジネディーヌ・ジダン。愛称をジズー。
前半、彼はユベントス陣内深くでマルセイユルーレットを披露した。そのまま中へクロスを蹴られる状況だったのに彼はわざわざ1回転して一人かわし、サイドへパスを送った。意味のないサーカスプレイと言ってしまえばそれまでだが、今思えばこのプレーでジズーは今日の自分のコンディションの良さを確かめたのかもしれない。
ユベントスの激しい中盤のプレッシャーをかいくぐるパス回し。その中心にいるのは紛れもなくジズーだった。絶対にボールを奪われない安定したキープ力、飛び込んでくる敵を鮮やかに避けるテクニック。これこそがジズーだ。ぜひともこの華麗なプレーをハイライト等で見て欲しい。ロナウジーニョの虜になった浮気者のサッカーファンが、再びジズーの元に戻ってくるに違いない。
そしてそんな彼と素晴らしいコンビネーションで中盤を構成したのがベッカム、フィーゴだ。ベッカムは守備面での貢献度が高い名脇役をつとめた。フィーゴのトップ下は安定感があってさすがのキープ力を見せていた。
だがこの試合、僕の最大の驚きは中盤の最後のピースを埋めたスキンヘッドの男だった。


マケレレよりもレアル向き!?
マケレレがレアルを去って以来、レアルはボランチのポジションに常に悩まされてきた。これまでこのボランチを試された選手はジダン、ベッカム、エルゲラ、グティ、カンビアッソらと数多い。しかしそのいずれもがディフェンス面での不安、パス展開の下手さなどからレアルの中盤を支えることは出来なかった。
ところが今シーズン、そのレアル最後のピースを埋めるためにエバートンからやってきたのがデンマーク代表のグラベセンだ。スキンヘッドの風貌に似合わない、柔らかい足元のテクニック。そして風貌そのままの激しく献身的なディフェンス。マケレレほどの守備範囲はないとしても、マケレレを凌駕するパスの展開力。特にグラベセンのインサイドキックの軌道は恐ろしいほどに滑らかだ。普通グラウンダーとは言いつつも、大概の選手のキックはボールが小さいバウンドを繰り返して飛んでいくものだ。だが彼のキックはまるで氷の上を滑らせているかのようなボールの軌道を描く美しいものだった。人は見かけによらないものだ。


2nd regへの展望
ほとんどがレアルへの賞賛で終わった試合だったが、結果だけを見れば1-0。決して安心できるスコアではない。しかしユベントスというチームは1-0で勝つことは出来ても、大量点を取ることがあまり得意ではない。そういう意味でもレアルのディフェンス陣の安定感、特に上で述べたグラベセンの働きが鍵を握るだろう。








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バイエルンミュンヘン vs アーセナル

2004-2005シーズン UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント
バイエルンミュンヘンvsアーセナル 1st reg


バイエルンのホームスタジアム、オリンピアシュタディオンで行われた1戦。
ミュンヘンはとても寒く、選手もサポーターも白い息を吐いていた。ピッチサイドには雪が壁のように積み重なっていて、ハーフタイムにはサポーターが雪合戦をして遊んでいる姿も見られた。
この寒さというアウェーの洗礼に立ち向かうこともアーセナルには必要になる。
バイエルンはバラックを筋肉のケガで欠き、アーセナルはアシュリー・コールが風邪、キャンベルがケガ、ベルカンプは飛行機嫌いで帯同せず。両チームとも完全なベストメンバーは組めないが、アーセナルの方がDFラインの中心が2人も抜けることを考えるとやや不利か。


試合結果はこちらでどうぞ。
スポーツナビ


サッカーの中のサッカー(バイエルン)
試合開始直後から圧倒的に攻め込んだのはバイエルンだった。2トップ、ピサーロ・マカーイが前線に基点を作り、ディフェンスラインからのボールを受ける。そこにフリンクスが絡んでボールを散らし、サリハミジッチ・ゼロベルトの両サイドからサイド攻撃。一言で言えば、バイエルンは非常に基本に忠実な攻めだった。バラックが欠場している分、中央からのミドルシュートなどの怖さはなかったが、その分サイドからの分厚い攻撃には目を見張るものがあった。アーセナルのDFも対人は強いのだが、一度前線のピサーロらに基点を作られるとどうしてもマークがずれる。そして困ったことにそのずれた箇所をレジェスやピレスはカバーしてくれないのだ。


サイドに泣いたアーセナル、サイドで吠えたバイエルン
アーセナルはバイエルンの徹底したサイド攻撃に全く対応できなかった。その大きな原因は、ピレス・レジェスがほとんどディフェンスしないこと。ディフェンスに入ったときもものすごく軽くアッサリかわされて追いかけようともしない。この日、アーセナル監督のベンゲルは普段サイドで起用するリュングベリをFWアンリの下に置き、レジェス・ピレスをサイドMFに起用した。裏へ抜けるスピードの早いリュングベリを生かして彼にゴールを決めさせようという意図だったのだろうが、これは逆効果だった。リュングベリは慣れないポストプレーをこなすことに戸惑い、レジェスは無理な突破を仕掛けて何度も自分の裏を取られてしまった。バイエルンの長所とアーセナルの短所が上手くかみ合ってしまっていた。
付け加えれば、DFトゥレは得点にも失点にも絡む大活躍。センターバックが目立つ仕事ぶりというのは全く褒められたものではない。GKレーマンに関しても目に見える大きなミスはなかったものの、飛び出し・シューターとの間合いといった立体的感覚に欠けたキーパーだということを再び露呈してしまった。


美しきプレッシングサッカー
バイエルンの守備は圧巻だった。並のプレスならアーセナルは簡単にパスを回して切り裂いてしまうが、バイエルンの守備はあまりに見事だった。前線と中盤が連携してプレッシャーをかけて囲み、中央をガッチリと抑えた。そしてレジェスらのサイド突破にも、カバーリングが完璧。たとえドリブルで一人かわしても二人目で必ず捕まってしまう、そんな絶妙の組織バランスで守っていた。完全な1vs1は全く作らせず、なんとかかわしてパスを回すアーセナルをどんどん追い詰めていく。そしてボールを奪えばすぐに縦へ攻める。前線がサボるアーセナルに対し、全員ディフェンスのバイエルンは美しいまでに理想的なプレスをかけていた。ボールポゼッションで負けてもゲームを支配したのはバイエルンだった。


2nd regへの展望
ほとんどいい所のなかったアーセナルだが、セットプレーからとはいえ1点を返したのは大きい。これで2ndのアーセナルホームで2−0でもアウェーゴール2倍ルールにより勝ちとなる。
そこで焦点になるのが2ndでのバイエルンの戦い方だ。守備に重きを置いて1点差以内に抑えて総合勝ちを狙うか、さらにアウェーでも攻めて2勝を狙うか。これは監督の考え方が全てになるが、マガト監督の傾向からいけばおそらく守備的に戦うことになるだろう。その場合、鉄壁のバイエルンの守りをアーセナルがどう崩すかがポイントになる。中央をガッチリ固められると何も出来ないアーセナル。この欠点は何年も前から全く変わっていないし、これこそがアーセナルが欧州リーグで勝てない理由だ。2nd regでアーセナルが爆発するきっかけを得るか否か。全てはそこにかかってくる。







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PROFILE

清水英斗 (海賊ひで)
  • 清水英斗 (海賊ひで)
  • 走るサッカーライター、
      戦うサッカー馬鹿。28歳
      2006年11月までドイツ在住
          →帰国済
       好きな言葉は、
       「海賊王に俺はなる!」

     『ドイツW杯航海日誌』 公開中!

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