「モチベーションに勝る武器はない。」
これはサッカーにおける僕の持論だ。どんなに強くても、勝ちに対して貪欲でなければ試合でいい結果を出すことはできない。たとえ技術があろうがフィジカルが強かろうが、モチベーションなくして発揮できるものではない。
・・・だが。
そうは言いつつも、「さすがにこれには勝てないだろう」と思ってしまうときもある。今日の相手はまさにそんな段違いのテクニックを持つチームだった。
フットサル公式戦シーズン最終戦(味の素ミズノフットサルプラザ)
僕らは次の対戦相手の試合を見ていた。
「・・・なんだコイツらは。」
恐ろしいまでに足裏に吸い付くボールテクニック。
右に出して足裏で引いて左へ、かと思わせてさらに足裏で右へ、かと思わせて左へ切り返す。しっかりと体重が乗ったフェイント。しかも足の動きが恐ろしく早い。
僕は大抵、上手いプレーを見たときはそれを真似てみようとする。・・・が、この相手はそんなレベルじゃなかった。全く真似ができない。
なんとこの相手はここまでリーグ戦9試合を全勝。しかもそのほとんどの試合を大差で勝っている。このチームには、フットサルの強豪「ロンドリーナ」やサッカーの強豪「FC VENGA」の選手が所属していた。それに対し、部活未経験者までいる僕らのチームが勝つ要素などまるで見当たらなかった。
しかし僕たちは走った。とにかく走り、戦った。あれだけ段違いの絶技を見せつけられながら、全員の目が生き生きとしていた。さらに相手は技術がある代わりに急造メンバーで作った、いわばジーコジャパンのようなチーム。それだけに上手くプレッシャーをかければボールをカットできるシーンもあった。相手の油断と幸運も手伝って、なんと3点を先取。
しかしこれが彼らに火をつけた。
前半はゴール前でも積極的にシュートを打たず、パスを回して遊んでいた彼らのスタイルが変わった。ウチのパスは3本とつながらない状態が続いた。しかし体を張って守り、なんとか相手にしつこく喰らいついてマークを外さなかった。だがそれでも2点を返され、やや相手の地力に押されてきたと感じ始めた、そのときだった。
相手を背にした状態から反転し、サイドを突破したファイター型FW。Tは迷わずに豪快に右足を振りぬきトゥーキック。これが矢のようにゴールファーサイドに突き刺さる。これが勝負を決めた。僕らはそのまま逃げ切った。
「全員が頑張っているあそこのチームは強い」
試合後、華麗な足技を披露した相手からはそんな賞賛の言葉が漏れた。


