レアルマドリードvsユベントス 1st reg
開始早々、左サイドを柔らかいタッチで切り裂いたユベントスFW、デルピエロ。長い間ケガに泣いていたが、彼はここ2年ほどの間で昔の自分を取り戻しつつある。そんな彼のキレキレの突破を見たときは、「このゲームはデルピエロが銀河系軍団をテクニックでも圧倒するかもしれない」と思ったものだ。実際、世間の下馬評でもユベントスがやや有利だった。
だが試合が終わってみれば、この試合はレアル復活の狼煙(のろし)とも言うべきものになった。
9.5番から9番へ
9.5番−。
それはレアルFW、ラウールに付けられた称号だ。背番号は一般的にはエースストライカーが9番を付け、司令塔が10番を付けるものとなっている。(勝手に自分の好きな番号を付ける選手も多いが)
つまり9.5番とは、ストライカーと司令塔の中間ポジションということになる。誰が言い始めたのかは知らないが、ウマイことを言うものだ。ゴールを決めるだけでなくアシストやパス散らしも得意とする、それがラウール本来のプレースタイルなのだ。
しかしこの試合のラウールは普段の彼とはやや違った。中盤まで下がる回数は減り、その分最前線に張って裏のスペースを狙う。ジダンらが中盤でパスを回している間も、ラウールはDFラインの中で細かいポジション修正を繰り返していた。その動きはユベントスDFにとって脅威だった。ロベルト・カルロスの早いクロスに飛び込んでバーに当てたシュートといい、彼の貪欲な動きには熟練のDFテュラム・カンナバーロでさえ手を焼いた。今日のラウールの輝きは、悪童ロナウドの存在感を全く感じさせなかった。
そして裏を返せばラウールがそんなプレーができるのは、レアルの中盤に参加する必要が全くなかったからである。そう。それはシーズン前半には不調に苦しみ、引退物議が止まらなかった男の華麗な復活なくしては語れない。
マルセイユが生んだ奇跡
ジネディーヌ・ジダン。愛称をジズー。
前半、彼はユベントス陣内深くでマルセイユルーレットを披露した。そのまま中へクロスを蹴られる状況だったのに彼はわざわざ1回転して一人かわし、サイドへパスを送った。意味のないサーカスプレイと言ってしまえばそれまでだが、今思えばこのプレーでジズーは今日の自分のコンディションの良さを確かめたのかもしれない。
ユベントスの激しい中盤のプレッシャーをかいくぐるパス回し。その中心にいるのは紛れもなくジズーだった。絶対にボールを奪われない安定したキープ力、飛び込んでくる敵を鮮やかに避けるテクニック。これこそがジズーだ。ぜひともこの華麗なプレーをハイライト等で見て欲しい。ロナウジーニョの虜になった浮気者のサッカーファンが、再びジズーの元に戻ってくるに違いない。
そしてそんな彼と素晴らしいコンビネーションで中盤を構成したのがベッカム、フィーゴだ。ベッカムは守備面での貢献度が高い名脇役をつとめた。フィーゴのトップ下は安定感があってさすがのキープ力を見せていた。
だがこの試合、僕の最大の驚きは中盤の最後のピースを埋めたスキンヘッドの男だった。
マケレレよりもレアル向き!?
マケレレがレアルを去って以来、レアルはボランチのポジションに常に悩まされてきた。これまでこのボランチを試された選手はジダン、ベッカム、エルゲラ、グティ、カンビアッソらと数多い。しかしそのいずれもがディフェンス面での不安、パス展開の下手さなどからレアルの中盤を支えることは出来なかった。
ところが今シーズン、そのレアル最後のピースを埋めるためにエバートンからやってきたのがデンマーク代表のグラベセンだ。スキンヘッドの風貌に似合わない、柔らかい足元のテクニック。そして風貌そのままの激しく献身的なディフェンス。マケレレほどの守備範囲はないとしても、マケレレを凌駕するパスの展開力。特にグラベセンのインサイドキックの軌道は恐ろしいほどに滑らかだ。普通グラウンダーとは言いつつも、大概の選手のキックはボールが小さいバウンドを繰り返して飛んでいくものだ。だが彼のキックはまるで氷の上を滑らせているかのようなボールの軌道を描く美しいものだった。人は見かけによらないものだ。
2nd regへの展望
ほとんどがレアルへの賞賛で終わった試合だったが、結果だけを見れば1-0。決して安心できるスコアではない。しかしユベントスというチームは1-0で勝つことは出来ても、大量点を取ることがあまり得意ではない。そういう意味でもレアルのディフェンス陣の安定感、特に上で述べたグラベセンの働きが鍵を握るだろう。



